当社においてコーポレート・ガバナンスとは、ローランドグループが企業価値を持続的・自律的に向上させ、株主・お客様・取引先様・従業員など当社に関わるすべてのステークホルダーの利益に資する、また持続可能な環境・社会の実現のための実効性のある仕組みをいい、これを構築、推進していきます。
コーポレート・ガバナンスの体制
当社は監査役会設置会社を選択しており、取締役による監督および幅広い調査権限を持つ監査役の監査により、適正かつ適切な業務執行を担保します。また、取締役会を補完する指名報酬委員会を設置し、重要な人事について透明性および公正性を確保しています。
上記体制は優れた知見や経験を有した多くの社外役員で構成されており、執行の妥当性を厳格に監督、監査する一方で、果敢な意思決定と業務執行に報いる適度なインセンティブや報酬制度を構築することで、執行の適切なリスクテイクを支援しています。
また万が一、企業価値を大きく損なう事態が生じた場合には、経営トップの交代も含めた、迅速な措置が取れる実効性ある運営を実現しています。
コーポレート・ガバナンス体制の模式図
取締役会
取締役会は、代表取締役社長が議長をつとめ、2024年3月末現在、7名の取締役(うち社外取締役4名)で構成し多様性と適正規模を両立しています。原則として毎月1回および必要に応じて臨時または書面で開催しています。取締役の任期は、経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できるよう1年としています。
取締役会の機能・役割
『企業戦略などの大きな方向性を示したうえで、独立した客観的な立場から経営の執行を監督する』ことを当社取締役会の役割として位置づけ、以下のとおり対象を定義しています。
(大きな方向性)
(監督対象)
- 経営トップの適正な執行(暴走・保身・不正の防止)
- 継続成長のための長期・未来志向のビジョン設定と、その連続性、一貫性
- 執行による事業ポートフォリオ再編案および中期経営計画の策定、進捗状況
- 執行による中期経営計画の達成を妨げるリスクの把握と管理状況
- 執行による内部統制の整備および運用
- 法令遵守に止まらない、社会要請に応える経営の実践状況
- 会社と経営陣・支配株主などとの利益相反取引
- 指名報酬委員会の運営
(業務執行の判断・決定)
- 会社法に定める取締役会の決議事項
- 社内決裁規程に定める取締役会の決議事項
- 役員報酬制度の構築
取締役会のメンバー
取締役のスキルマトリクス
監査役会
監査役会は、2024年3月末現在、3名の監査役(うち社外監査役3名)で構成されており、毎月1回および必要に応じて随時開催しています。
監査役会の機能・役割
- 監査役監査計画、監査役会監査報告書の策定
- 取締役会議案に関する協議などの実施
- 取締役会その他重要な会議への出席を通じた、重要な意思決定過程および業務執行状況の把握
- 子会社等の往査実施による、取締役の職務執行の適法性および妥当性の監査
- その他、監査役監査全般を通じた、当社グループの持続的な企業価値向上のための健全性確保
監査役会のメンバー
監査役会のスキルマトリクス
執行役員会
すべての執行役員を構成員とする執行役員会を設け、取締役会に上程する事項や業務執行における重要事項について決定し、また重要な情報を共有しています。
執行役員会のメンバー
指名報酬委員会
取締役、監査役、社長および執行役員(委任型)の指名ならびに報酬決定プロセスの透明性と公正性を確保するために、構成員の過半数を独立社外取締役とする、任意の指名報酬委員会を設置しています。
指名報酬委員会は、2024年3月末日現在、3名の独立社外取締役で構成しています。また、常勤監査役がオブザーバーとして参加しています。
指名報酬委員会のメンバー
指名報酬委員会の機能・役割
【役員の指名】
指名報酬委員会は、取締役および監査役選解任に関する株主総会議案、ならびに社長および執行役員(委任型)の選解任に関する取締役会議案を、取締役会に提案します。
※執行役員(委任型)は、当社と委任契約を締結しています。
【役員の報酬の決定】
取締役及び執行役員(委任型)の報酬体系は取締役会で決定しており、個別の取締役の報酬は、社長から提出された原案を指名報酬委員会が承認し、取締役会が決定しています。
個別の執行役員(委任型)の報酬は社長が決定し、これを指名報酬委員会に報告することで、報酬の適正性・公平性を監督しています。
-役員報酬の体系-
社外取締役を除く取締役および執行役員(委任型)の報酬は、当社グループの持続的な成長のための健全なインセンティブとして機能する水準と構成となるよう体系化し、固定報酬(月棒金銭報酬)、連結業績に連動する賞与および株式報酬を概ね5:3:2の割合で構成しています。賞与は、連結営業利益および当該取締役の管掌範囲における業績目標に連動する金銭報酬とし、株式報酬は、中期経営計画で目標と定める連結ROICに連動して、当社株式交付の形で支給されます。
社外取締役の報酬は、固定報酬(月棒金銭報酬)および固定型株式報酬を概ね8:2の割合で構成するものとし、社外取締役が経営監督機能を適切に果たすべく報酬の安定性を確保しています。
また、監査役の報酬は監査役の協議で決定しており、固定報酬(月棒金銭報酬)のみとなっています。
但し、外国籍役員の場合、固定報酬(月俸金銭報酬)、連結業績に連動する賞与および株式報酬については、外部専門機関による各国における市場価格の調査結果を考慮し、取締役会が取り決めた中長期報酬方針に照らして、取締役会が対象者ごとに個別決定します。
<役員報酬構成のイメージ>
業務執行取締役および執行役員(委任型)
社外取締役
監査役
【後継者計画の監督】
社長が提案する後継者計画の客観性・公平性・妥当性をチェックし、候補者の選出、育成計画の策定・実施、候補者の評価・絞込み・入替えなどのプロセスを適時に確認しています。
(参考)指名報酬に関する役割
取締役会の実効性評価
当社は、毎年、取締役会の実効性向上のため評価・分析を行っています。
2023年度を対象とした取締役会実効性評価
1. 評価の方法
- 取締役、監査役の全員を対象に、実効性評価にあたっての議案や所要時間などの基礎資料を配布
- 上記対象者に「実効性評価表」を配布し、回答を取得
- 評価の観点は「取締役会の運営」、「取締役会の規模と構成」、「社外取締役・監査役への情報提供」、「取締役会の役割」の4項目
- 評価の定量集計に加え、「評価できる点」と「改善が望まれる点」を分析
- 取締役会において、課題について協議を行い、今後の改善策検討の方向性を共有
2. 評価結果の概要
評価結果の概要は以下の通りです。
- 当社取締役会は、CEO・CIO・CPOである業務執行取締役に加え、社外取締役として、企業経営経験者、CTO経験者、海外投資家および弁護士で構成され、社外取締役が過半数を占めている。
これにより多様な見地から積極的に議論が行われているとともに、ガバナンス上も望ましい構成となっている。
- 社外取締役および監査役が、取締役会のほか経営会議やリスク管理・コンプライアンス委員会等の社内会議に陪席する機会を設けたこと、また、監査役が積極的に往査を行ったことにより、適宜、経営計画や事業環境に関する情報を得て、現場や実態への理解を踏まえた発言を行っている。
- 社外取締役と監査役を対象とした取締役会の事前説明を開始したことにより、議案の事前理解が促進され、取締役会での効率的かつ有効的な議論の醸成に大きく寄与している。
また、今後も、ガバナンス強化および実効的な取締役会の運営実施のため以下の課題につき検討を進める予定です。
- 取締役会の多様性、構成のあり方
- 取締役会のあるべき姿、取締役会の役割・責務
- 中長期の経営戦略やガバナンス体制に関する議論充実のための充分な時間の確保や資料の改善
- 資料配布の更なる早期化と記載充実、事前の情報提供の拡充等の運営改善
<当社取締役会の議事運営状況>
※2022年10月〜2023年9月の実績;単年度事業計画(年度予算)の審議開始時期である10月からの年間集計としている
内部統制システム
当社グループの内部統制システムの中核を成すコンプライアンス体制、リスク管理体制およびグループ会社の管理体制は、次のとおりです。
コンプライアンス体制
- 基本的指針となる「ローランドグループ コンプライアンスガイドライン」をグループ内に周知徹底
- 「リスク管理・コンプライアンス委員会」が、グループ全体のコンプライアンス遵守体制を構築推進
- グローバルにコンプライアンス推進担当を設け、コンプライアンス推進を実行
- 当社の役員・従業員の不正行為に関する通報を受け付ける国内内部通報制度に加え、子会社の従業員等が子会社経営層の不正行為に関する通報を行うことができるグローバル内部通報制度を整備。いずれも、(1)社外の弁護士事務所および(2)当社監査役の2つの窓口を設け、通報者が任意に選択できるようにすることで、通報に伴う心理的な安心感を確保するようつとめている。なお、現在の従業員および役員による通報に限らず、退職者・退任者による通報も受け付ける。
リスク管理体制
- 当社事業を取り巻くさまざまなリスクに対する管理の方針と体制を「リスク管理基本規程」に定める
- リスク管理・コンプライアンス委員会において、当社グループを取り巻くリスクの発生可能性と影響度を評価のうえ、対応方針を定める。主要なリスクは取締役会で定期的にレビューする
- グループ全体から報告された顕在リスクは、執行役員会で対応を検証し、再発防止策を周知・徹底
- 緊急時には社長が危機管理体制の最高責任者となり、事業継続計画に基づき対応を実施
子会社の行為に対する当社の関与
- 子会社の行為のうち、当社が関与すべき事項を「関係会社管理規程」に定め、権限範囲を明確化
- 上記事項には、子会社の業務執行に対し当社が意思決定する承認事項と、子会社の業務執行の結果やリスクなどの発生事象を把握する報告事項があり、影響度と重要度に応じた統制を実施
株主・投資家との対話とフィードバック
当社は、積極的なコミュニケーションを通じて、株主・投資家の皆様との長期的な信頼関係を構築することが重要と認識しIR活動を実施しています。
社内体制としては、関係部門間で必要な情報の収集、蓄積を行い、連携して対応しています。対話にあたっては、テーマ・内容ごとの必要に応じて担当の取締役・執行役員などが対応し、対話を通じて得られた意見については、取締役会または経営幹部に報告し、企業価値向上の施策に反映しています。
対話におけるフェア・ディスクロージャー・ルールを遵守するための社内規程を設け、投資家に対する公平な情報開示を行っています。インサイダー情報の管理については、未公表の重要事実の取り扱いに関する規則を定め、厳格に運用しています。
個別面談以外の対話の手段としては、機関投資家や証券アナリストの皆様に向けた決算説明会を四半期ごとに開催し、決算の概要や今後の見通しについて説明する他、スモールミーティングなどを行っています。また、個人投資家の皆様に当社の魅力を広く知っていただくために株主通信などをWebサイトに掲載しています。
株主・投資家の皆様に当社をご理解いただけるよう、Webサイトにおける各種IR情報の掲載や株主の皆様からのお問い合わせ窓口を設けるなど、コミュニケーションの充実に努めています。
コーポレート・ガバナンス報告書
東京証券取引所の規則およびコーポレートガバナンス・コードに従い、当社のコーポレート・ガバナンスの考え方や体制などを記述した報告書です。